スペイン、支援要請か EU 安全網で融資検討
2012年6月9日
【ロンドン=有賀信彦】ロイター通信は八日、財政難のスペイン政府が九日にも、自国の銀行救済のための金融支援を欧州連合(EU)に要請する見通しになったと伝えた。EU当局筋などの話としており、ユーロ圏十七カ国の財務相らは九日に電話協議し、終了後に声明を発表する予定だという。
報道が事実とすれば、EUは支援規模と条件を早急に詰める。ユーロ圏諸国を支援するための金融安全網を使った融資を検討する。市場ではスペインの銀行救済には全体で一千億ユーロ(約九兆九千億円)規模の支援が必要になるとの見方がある。
ロイター通信の報道に対し、スペイン政府の報道官は八日、「銀行への金融支援について何も把握していない」と述べ、九日の段階での支援要請を否定。さらに、ラホイ首相は月内に公表される銀行の外部監査結果を見極めたうえで、銀行の資本増強に関してEUと協議する予定だと指摘した。
スペイン政府が現時点でEUに支援要請すると取りざたされた背景には、欧州系の大手格付け会社フィッチ・レーティングスが七日、同国国債の長期信用格付けを三段階引き下げ、金融市場で同国の信用が一段と落ちている現状がある。
さらにユーロ離脱の可能性も出るギリシャの再選挙が十七日にあり、予測が難しいギリシャの混乱がスペインへと波及する前に銀行救済を決める必要があるとみられている。
ユーロ危機は、発端となった小国ギリシャから、ユーロ圏で四番目の経済規模を持つスペインへと本格的に波及する事態になっている。
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