シベリア中部の大都市、人口約100万のクラスノヤルスクから車で北上し、10時間。果てしなく続くシラカバの森の先に、「ニジニ・アンガルスカヤ水力発電所」の候補地があった。
淡水湖で世界最大の貯水量を誇るバイカル湖から流れる全長1800キロのアンガラ川の中流。5月でも気温は1度。岸に氷が残る。
ニジニ発電所は、En+グループの子会社と中国の長江電力が出資して建設される発電所の一つ。そこから120キロ上流に上ると、最大出力300万キロワットの巨大なボグチャンスカヤ発電所が建設中だった。幅は2.7キロ、高さ96メートル。資材を運ぶクレーンが林立し、作業員がごま粒のように見えた。
En+グループやボグチャンスカヤ発電所に出資する会社のオーナーは、「世界のアルミ王」として知られるロシア屈指の富豪デリパスカ氏。ボグチャンスカヤ発電所は、同氏のアルミニウム工場への電力供給が目的だが、その発電量から将来の中国への電力供給をにらむとされる。国内外のメディアに「5年後には中国に年150億キロワット時を輸出したい」と発言している。
En+グループのボリネツ社長は「モンゴル経由で東シベリアのチタから北京までの1400キロを結ぶ送電線など五つのプランがある」と明らかにした。中国、日本、韓国を結んで極東やシベリアの電力を送るシステム構築も検討中という。
0 件のコメント:
コメントを投稿